執事を呼ぶ — 3ステップ
やり方は2通りあります。パソコンをお使いなら A、スマートフォンやブラウザだけなら B です。どちらも、最後に貼る一言は同じです。
A. パソコンで(おすすめ)
- Claude Desktop アプリを入れてサインインし、上の「Code」タブを開きます(Claude の有料プランが必要です)。Windows の方は、あわせて Git for Windows と Python 3 を入れます(Git はアプリが初回に案内します。Python は Microsoft Store で「Python」を入れるのが簡単です。入れたらアプリを再起動します)。
- 「フォルダを選ぶ」で、新しい空のフォルダを作って選びます(名前は「執事」など何でも)。
- 上の一言を貼って送ります。AI が配布元から必要なものを取り寄せて組み立てます。「許可しますか」と出たら「許可」を押してください(初期化では何回か出ます)。
B. ブラウザだけで
- GitHub(無料)のアカウントを作り、claude.ai とつなぎます(
claude.ai/codeを初めて開くと案内が出ます。出ない場合は 設定 → コネクタ → GitHub から)。 - 種リポジトリを開き、「Use this template」→「Create a new repository」で自分用の複製を作ります(名前は何でも。Private を選びます)。
claude.ai/codeでその複製を選んでセッションを始め、上の一言を貼って送ります。
どちらの場合も、終わると AI が「できたこと」と「あなたがやること」を報告します。確かめ方は、新しいセッションを開いて「私の記憶には何がある?」と聞くだけです。くわしい説明と、うまくいかないときの対処は、この先にあります。
HANDOVER.md の1章から順に進めてください。すでにファイルが揃っている(種リポジトリから複製した)場合は取得しなくてかまいません。
curl -fsSL https://template.reanic.page/HANDOVER.md -o HANDOVER.md curl -fsSL https://template.reanic.page/latest.zip -o /tmp/butler-automata.zip unzip -o /tmp/butler-automata.zip -d .取得した zip の sha256 を計算して報告に含めてください(利用者が種リポジトリの
SHA256SUMS と見比べられます)。ファイル操作ができない AI(チャット)は、上の A または B を1つずつ利用者に案内してください。
何が起きるようになるか
仕組みは単純です。会話の要点をリポジトリ(GitHub 上の、変更履歴つきの保管箱)にファイルとして残し、 セッションの開始時に「フック」(決まったタイミングで自動的に動く小さなプログラム)がその索引を読み込ませます。 記憶を Claude の中ではなく自分のリポジトリに置くので、履歴が全部残り、間違えても巻き戻せ、サービスに囲い込まれません。置き場は、クラウド版では GitHub、デスクトップ版では GitHub でも社内に設置した Git サーバー(Gitea や GitLab など)でも手元のフォルダだけでもかまいません。
できるようになることは4つです。
- 続きから話せます。「先週相談した件だけど」で通じます。索引には「いつ・何を相談したか」と詳細へのリンクだけを置き、中身は詳細ファイルにあるので、AIは必要なときだけ詳細を開きます。
- 調べ物が積み上がります。「調べてほしい」と頼んだ内容はテーマごとのフォルダにまとまり、何回に分けて聞いても同じフォルダに追記されます。
- 記録の忘れが起きにくくなります。セッションの終了時に、何も記録されていなければ「記録すべきか」を AI 自身に判断させる確認が入ります。
- 安全側に倒してあります。鍵(パスワードや API キー)はファイルに書かない、外部サービスへの書き込みは候補を見せて同意を得てから、という約束がルールブックに最初から入っています。
中身の構成
雛形は次のファイルで構成されています。覚える必要はありません。どれも AI が読み書きするものです。
人が開くことがあるのは、ルールブック(CLAUDE.md)と索引(INDEX.md)くらいです。
CLAUDE.md # ルールブック。毎セッション自動で読まれる HANDOVER.md # AIが読む初期化の手順書(初期化後は tools/ へ移る) .claude/ settings.json # フックの登録 hooks/session-start.sh # 開始時: 索引2枚を読み込ませる・点検の結果を知らせる hooks/record-check.sh # 終了時: 何も記録していなければ確認を入れる(中身は record-check.py) memory/ INDEX.md # セッションの索引(日付・一言・リンク) YYYY-MM-DD-〇〇.md # 各セッションの詳細 LESSONS.md / ACCURACY-LOG.md / REPOS.md # 学び・事故の記録・関係リポジトリの台帳 private/ # 暗号化した記録(任意。有効化するまで空) research/ INDEX.md # 調査テーマの索引 TEMPLATE.md # テーマの雛形 <テーマ名>/README.md # テーマごとの調査記録(report.html を添えることもある) tools/ index-health.py # 索引の字数・リンク切れなどを点検する index-tidy.md # 索引の棚卸し(整理)の手順書 setup-script.sh # クラウド版で入れておく道具の一覧 make-standalone.py / private-notes.sh # レポートの包み(デスクトップ版)・暗号化メモの道具 .gitattributes / .gitignore / .mcp.json.example
memory/INDEX.md と research/INDEX.md)は毎セッション自動で読み込まれるので、
書いた分だけ毎回のコストになります。そのため索引には「いつ・何を・結論一言・リンク」だけを書き、中身は詳細ファイルに置きます。
読み込まれるのは索引の中の目印の行より上だけで、古い行や片づいたテーマは目印の下へ移します(行は同じファイルに残るので、消えません)。
字数は点検スクリプトが毎回測り、増えすぎると棚卸し(古い行を目印の下へ移す整理)を促します。
作り方 — クラウド版(claude.ai/code)
ブラウザだけで完結する版です。手元のパソコンに何も入れません。人がやるのは「GitHub のアカウント」「種リポジトリから自分用の複製を作る」「一言を貼る」の3つで、残りは AI が自分で組み上げます。
Step 1 — GitHub のアカウントを作る必須
- github.com でアカウントを作ります(無料でかまいません)。GitHub は「ファイルの変更履歴をぜんぶ残してくれる保管サービス」です。
- claude.ai と GitHub をつなぎます(
claude.ai/codeを初めて開くと案内が出ます。出ない場合は 設定 → コネクタ → GitHub から許可します)。
クラウド版では GitHub が必須です。claude.ai/code が GitHub からリポジトリを取り込む仕組みのためです。
Step 2 — 種リポジトリから自分用の複製を作る必須
- 種リポジトリを開き、右上の Use this template → Create a new repository を押します。
- 名前は何でもかまいません(例:
my-butler)。必ず Private を選びます(自分だけが見られる設定)。「Create repository」で完成です。雛形のファイル一式が最初から入っています。
Step 3 — claude.ai/code で開いて、一言を貼る必須
claude.ai/code(Claude Code on the web)を開き、Step 2 で作ったリポジトリを選んでセッションを始めます(初回は環境の設定画面が出ることがありますが、そのまま進めてかまいません)。- 次の一言を貼って送ります。
Step 4 — AI が組み上げる必須
ここからは AI の仕事です。環境を判定し、ファイルを配置し、フックが動くことを手で実行して確かめ、最初の記録を書いてコミット(保存)します。 終わると「できたこと」と「あなたがやること」を番号付きで報告してきます。 報告の中の「ブランチ」「マージ」「push」といった言葉は AI への指示なので、意味を覚える必要はありません。
Step 5 — 動いているか確かめる必須
新しいセッションを開いて(フックは開始時に動くので、同じセッションでは確かめられません)、次のように聞きます。
「初期化した」という記録が1行返ってくれば完成です。以後、このワークスペースでの会話は自動的に積み上がります。 返ってこない場合は、そのセッションで「記憶の読み込みが動いていないので、原因を調べて直してください」と頼めば、AI が自分で調べます。
作り方 — パソコン版(Claude Desktop・CLI・VS Code)
手元のパソコンで Claude Code を動かす版です。GitHub も環境の設定画面も要りません。同じファイル一式がそのまま動きます。 クラウド版と違うのは、道具を自分で入れることと、クラウド版の予約実行(Routine)とレポートの公開(Artifact)が使えないことだけです(Claude Desktop 自体のローカルな予約実行は本雛形では未検証)。
Claude Desktop アプリで(おすすめ)
- Claude Desktop を入れてサインインし、上の「Code」タブを開きます。Windows の方は Git for Windows と Python 3 の2つを入れます(Git はアプリが初回に案内します。Python は Microsoft Store で「Python」を入れるのが簡単です)。入れたらアプリを再起動します。Python が無くても記憶の読み込みは動きますが、点検と記録忘れの確認が働きません。
- 「フォルダを選ぶ」で、新しい空のフォルダを作って選びます(名前は「執事」など何でも)。
- 次の一言を貼って送ります。AI が配布元から手順書と雛形を取り寄せて組み立てます。「許可しますか」と出たら「許可」を押してください(初期化では何回か出ます)。
コマンド版(CLI)や VS Code 拡張で
- Claude Code の CLI(
claudeコマンド)か VS Code 拡張を導入します。あわせてgitとpython3が要ります(多くの環境には最初から入っています)。 - 記憶の置き場を決めます。手元のフォルダだけ(どこにも送らない)でも、GitHub でも、社内に設置した Git サーバー(Gitea や GitLab など)でもかまいません。手元だけの場合は、記録のすべてがそのフォルダにあるので、フォルダごと定期的にバックアップしてください。Windows の方は WSL(Windows 上の Linux)の中に置いてください。
/mnt/cの下に置くと極端に遅く、フックも動きません。 - そのフォルダで Claude Code を起動し、上と同じ一言を貼ります(zip を先に展開しておく場合は「HANDOVER.md を読み、書いてあるとおりに初期化してください」でもかまいません)。
- PDF や Office ファイルを読むための道具は、報告に出てくる手順で自分で入れます(例:
sudo apt install poppler-utils)。 - 外部サービスの鍵は、シェルの設定か
.claude/settings.local.json(GitHub には上がらないファイル)に置きます。 - 調査レポートは
tools/make-standalone.pyで包んでブラウザで開きます。 - クラウドで始めたセッションを手元に引き継ぐこともできます(
claude --teleport)。逆方向はできません。 - Claude Desktop は、新しいセッションごとに専用の作業フォルダ(worktree)を自動で作ります。雛形はそのままで動きます。記録の仕上げ(まとめ)だけ元のフォルダに対して行うよう、手順書に書いてあります。
あとから足せるもの
どれも「足したい」と Claude に言えば、手順書(tools/HANDOVER.md の「任意モジュール」)を読んで組んでくれます。
人がやるのは画面操作と鍵の登録だけです。
| 名前 | できるようになること | Claude に言う文 |
|---|---|---|
| 外部サービス接続(MCP) | Web 検索や専門データベースなどを Claude の道具として使えます。MCP は AI と外部サービスをつなぐ共通規格で、URL につなぐ方式なら導入作業がありません。鍵はファイルに書かず、環境の設定に置きます。 | 「MCP で〇〇を使えるようにして」 |
| コネクタ | claude.ai の設定から Gmail・カレンダー・タスク管理などを接続できます。雛形のルールブックには「メールは下書きまで・カレンダーは読むだけ・タスクは印を付けて読み書き」という線引きが最初から入っています。 | 「コネクタの線引きを決めたい」 |
| 予約実行(Routine) クラウド版のみ | 決まった時刻に無人でセッションを起こします。雛形では索引の棚卸し(週1回)に使う想定で、手順書と実行の記録の残し方まで用意してあります。 | 「索引の棚卸しを Routine で自動化して」 |
| 暗号化した記録 | 人に見られたくない話題を、暗号文だけの形で残せます。読むには鍵が要り、AI も「合図」があるまで開きません。記録しない、という選択肢も最初から用意されています。 | 「非公開メモを有効にして」 |
| 動作設定のオプション | 要所だけ、より強いモデルに相談させる「相談役(advisor)」や、キーワードで複数の AI が一斉に動き出す機能の無効化などを、あとから入れたり戻したりできます。Claude が「何が変わるか・前提・費用・戻し方」を示してから書くので、読んでから許可してください。一覧は tools/OPTIONS.md にあります。 | 「相談役を Fable にして」 |
| 他リポジトリの台帳 | プログラムの開発は別のリポジトリで行い、会話の記録だけをこの作業場に集める分担ができます。どのリポジトリが何の話かを台帳に残します。 | 「〇〇のリポジトリを台帳に足して」 |
長く使うためのコツ
- ルールブックを育てます。困ったことが起きるたび、その教訓を
CLAUDE.mdに1行足すよう頼みます。ルールは毎回自動で効くので、同じ失敗が繰り返されにくくなります。 - 索引は軽く保ちます。目安は2枚合計で8,500字です。超えると点検が知らせ、棚卸し(古い行を読み込まれない側へ移す整理。行は消しません)を AI が行います。棚卸しの是非を人に聞かないよう、ルールで決めてあります。
- ただし、削りすぎません。大きすぎる索引は毎回のコストですが、削りすぎた索引は答えを間違えさせます。迷ったら正確さを採る、と決めてあります。
- 点検も自動です。「人が思い出して測る」方式は続きません。字数やリンク切れは点検スクリプトが毎回測り、問題があるときだけ知らせます。
- 環境の改修も AI に頼めます。「開始時にこういう検査を足して」と言えば、AI 自身が自分の環境を直します。この雛形の仕組みも、ほぼすべてそうやって作られました。ただし、フックなど「次回から自動で動く設定」を変えるときは、AI が「何が自動で動くようになるか」を要約して見せるので、それを読んでから許可してください。
- 鍵はファイルに書きません。API キーやパスワードは環境の設定(クラウド版は Environment variables 欄)に置き、ファイルには変数名だけを書きます。リポジトリが private でも、この約束は変えません。
つまずいたとき
いずれも、雛形の元になった環境で実際に起きたものです。多くは「〇〇が起きている。原因を調べて直して」と Claude に頼めば解決します。
| 症状 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 記憶が読み込まれない | フックに実行権限が無い/改行コードが CRLF に変わった(Windows 側のエディタで編集した場合など) | 実行権限を付け、改行を LF に戻します。フックは失敗してもエラーを表示しないので、まずここを疑います |
| 複数のリポジトリを選んだセッションで記憶が読み込まれない | 仕様です。リポジトリを2つ以上入れたセッションではフックが動きません | この作業場だけを選んだセッションで確かめます。複数リポジトリのセッションでは AI が索引を自分で読むよう、ルールブックに書いてあります |
| 記憶の読み込みが急に来なくなった | 索引が大きすぎます。仕組み側の上限(約16,000字)を超えると、先頭の一部しか渡りません | 棚卸しを頼みます。雛形のフックは上限の手前で自分から切り、切った旨を先頭に書くので、まったく気づかない事態にはなりません |
| PDF が開けない(クラウド版) | 環境の記録が再利用されて Setup script が走らず、poppler-utils が入っていません |
セッション内で入れれば数秒で直ります。フックが不足を検知して知らせます |
| 登録した鍵が効かない | 環境の設定はセッション開始時に一度だけ取り込まれます | 新しいセッションを開始します |
| 保存(push)が拒否される | 別のセッションが先に同じリポジトリを進めました | 最新を取り込んでから保存し直します。AI が自分で行います(強制的な上書きはしない約束です) |
| Word/Excel/PowerPoint が読めない | 読み書きのライブラリが入っていません | pip install openpyxl python-docx python-pptx(クラウド版は Setup script に含まれています) |
この配布物について
- 版:v1.0.9(2026-09-25)。内容はこの版で固定してあり、元になった環境の変化に自動では追随しません。更新するときは版番号と日付を変えて配り直します。
- 入っているもの:雛形の zip(ファイル一式。最新版は常に latest.zip で取れます)と、AI が読む手順書(zip にも同じものが入っています)。同じ中身を 種リポジトリ(GitHub・public)にも置いてあり、ブラウザ版はそこから複製します。種リポジトリには zip の照合用ハッシュ(
SHA256SUMS)も置いてあるので、配布元と種の両方が同じ中身であることを確かめられます。 - ライセンス:MIT License(zip の
tools/TEMPLATE-LICENSE.txt)。改変も再配布も自由です(無保証)。雛形のファイルに対するもので、あなたがこれから書く記録には及びません。 - 出自:2026年8月から運用している実在の個人環境を、個人情報・鍵の情報・個人固有の運用ルールを除いて一般化したものです。手順と「つまずいたとき」の内容は、その環境での実測と実話にもとづきます。
- 記録される内容について:会話の記録はあなたのリポジトリ(GitHub や手元のフォルダ)にだけ残ります。雛形のルールブックは「リポジトリが private であることを前提に、会話の続きに要る個人情報は記録してよい」を既定にしています。変えたいときは、初期化のときに AI が聞いてきます。